福岡・大分乘潰し

また九州へ旅に出ました。思ひ立つたのが木曜日の夜。すぐに日程を立てて金曜日に切符と宿の手配をしました。
今囘の旅で(運休になつてゐる高千穂鉄道を除いて)九州の殘りを全部潰せるかと思つてゐたのですが、どうも難しい。無理なのならば今囘は觀光を入れようと云ふことで、以下のやうな日程と相爲りました。以下は實際の行程で、立てた日程は少し、いやかなり違ふのですが、それは後述。使用した切符は「周遊きっぷ 大分ゾーン」です。


11/19
京阪某驛→京橋
京橋06:35→06:42大阪 大阪環状線
大阪06:49→06:53新大阪 JR京都線
新大阪07:00→09:04小倉 新幹線 のぞみ501号
小倉09:09→10:09田川伊田 日田彦山線
田川伊田10:16→10:51直方 平成筑豊鉄道伊田線(金田〜直方初乘車 完乘)
徒歩12分
筑豊直方11:10→11:42黒崎駅筑豊電気鉄道(全線初乘車 完乘)
黒崎駅前BC12:00→12:20帆柱登山口 西鉄バス
徒歩10分
帆柱ケーブル13:00→13:05 (全線初乘車 完乘)
帆柱ケーブル13:20→13:25
山麓驛→八幡驛前 送迎バス
八幡13:45→13:58小倉 鹿児島本線 快速
小倉14:09→15:26別府 日豊本線 ソニック27号
別府驛前→ラクテンチ タクシー5分
別府ラクテンチケーブル線3分 (全線初乘車 完乘)
別府ラクテンチケーブル線3分
ラクテンチ→別府驛前 タクシー5分
別府驛前→鉄輪 亀の井バス
鉄輪→別府驛前 亀の井バス

11/20
別府08:00→08:12大分 日豊本線 九州横断特急1号
大分08:20→10:44久留米 久大本線 ゆふ2号(大分〜日田初乘車 完乘)
久留米駅前→西鉄久留米 西鉄バス
西鉄久留米福岡(天神) 西鉄天神大牟田線
徒歩5分
天神南→橋本 福岡市地下鉄七隈線(全線初乘車 完乘)
橋本駅前→姪浜駅南口 西鉄バス
姪浜→博多 福岡市地下鉄空港線中洲川端〜博多初乘車 完乘)
博多 14:08→16:47新大阪 のぞみ184号
新大阪→大阪
大阪→京橋
京橋→京阪某驛

今囘の旅では番狂はせ(「聞いてないよー」)があちこちでありました。

筑豊電鉄

筑豊電鉄鐵道扱ひなのですが、車輛は路面電車。驛のホームも低い路面電車仕樣になつてます。でも車掌は乘つてゐて、車内放送もテープではなく車掌の肉聲でした。が、運賃の仕拂ひは運賃箱に現金投入。車掌による切符の販賣はなしと云ふ、鐵道路面電車の折衷形になつてます。筑豊電鉄黒崎駅前驛はバスターミナル内。帆柱登山口經由のバスは電停のすぐ横に停ります。
(追記)「鐵道路面電車の折衷形」がもう一つ。列車が驛に到箸すると、鐵道なので一往停るのですが、乘降客がゐない場合は路面電車の如く扉を空けずにその儘發車します。しかし、「降りる」と云ふことを傳へるのは、路面電車のやうな押しボタンがあるのではなく、驛に著いた時に降りようとする人がゐるのを運轉手が目視で確認と云ふ、鐵道のワンマン列車のやうなことをしてゐます。と云ふ所も少し驚きました。

帆柱ケーブル

次に乘るのは帆柱ケーブル。帆柱ケーブルのサイトには「黒崎驛からバスに乘つて帆柱登山口バス停下車」とあつたので、バスを降りたらすぐに驛があるのかと思ひきや……。それらしき物は何もない。道案内もない。少し歩いた所に帆柱ケーブルへの標識があつたのでそれに從つて進むと、目の前には急坂が。車道には自家用車がスイスイ。路線バスで來る奴は馬鹿と云ふことですか、さうですか。その坂道をヒイコラ10分近く歩いてやうやく驛に着きました。帆柱ケーブルは0分、20分、40分の發車の筈だから、あと10分で乘れると思ひきや……。驛に入つた私の目の前をケーブルカーが出發して行く。12時臺は0分、30分の運轉とのことでした。次の發車は13:00。山頂で食べる積りだつた辨當(黒崎驛で買つた「かしわめし」)を山麓驛で食べました。乘つた車輛は「はるか」號。相方はラピート「かなた」號。ベタベタやなあ。帆柱ケーブル山頂の皿倉山は「100億ドルの夜景」とのことで、神戸の一萬倍です。はい。歸りは山麓驛前からケーブル會社の送迎バスに乘れましたし、ここで時間の餘裕を見ておいたのでその後の行程には問題なしでした。

(追記)別府に著いてホテルに入つてから。ラクテンチへ持つて行く荷物を整理してゐて氣が附いた。地圖を車内に忘れて來た。列車の終點の大分まで行けば取り戻せるのでせうけど、どうせ古いしと諦めて、別府驛内の本屋で新しい地圖を買ひました。

ラクテンチ

別府に著いて、ホテルに荷物を置いてラクテンチ(遊園地です)へ行くべくバス乘り場へ。ラクテンチ經由のバスがある筈なのだが見當らない。閉園時間が17時で時間がないので、タクシーに乘りました。5分で720圓なり。ラクテンチ(正しくは別府ワンダーラクテンチ)と云ふのは遊園地なのですが、入口がケーブルカーになつてゐます(徒歩で入る道もあることはあるが、かなりの急坂)。ケーブルカーのみ乗車することはできず、遊園地の入場劵とケーブル往復乘車劵がセットになった1000圓の劵を買ひました。ケーブルは見上げるやうな急坂。角度は30度とのことで、最急勾配ならばもつと急なものが奧多摩にありますが、こちらは最初から最後まで30度。しかも眞直なので下まで見える。いやそれよりも、車輛の横搖れが非道いのです。それに架線との接觸が惡いのか車内の螢光燈が燈いたり消えたり*1。そつちの方が怖い。折角入場料まで払つたのだからと一廻りしてみたのですが……。客がゐない。閉園時間近くとは言へ、休日の遊園地にこんなに人がゐなくて良いのか? ラクテンチと云ふ所は、元々は地元の企業が運營してゐたのですが、經營不振の爲、大阪の遊園地機具製作メーカー「岡本製作所」に賣却されたのです。むべなるかな。まあ、一囘見ただけで何かを云ふことも出來ないのでせうけど。何も乘らないのも何なので觀覽車に乘りました。

ケーブルで下に降りて驛(と云ふか驛を出るのに必ず通らないといけない土産物屋)を出ると、バスがゐた。「わー、乘せてくれー」と走つたのですが、無情にもバスは走り去つて行きました。次のバスは30分後。しやうがないのでまたタクシーに乘りました。5分で720圓なり。

鐵輪

周遊きっぷ 大分ゾーン」は豊肥本線豊後竹田まで乘れるので、九州横断特急で乘り潰してしまはうかとも思つたのですが、もう日が暮れるし、どうせまた乘りに來ることになるしと云ふことで取り止めて、バスで鐵輪(かんなわ)温泉まで行つて來ました。鐵輪と云へば地獄廻りなのですが、行つたのが遲すぎてもう閉まつてる。結局、鐵輪では無料の公共浴場で一風呂浴びただけでした。この日の宿は温泉附き。それだけに宿代も良い値段なのですけど。3囘も入つてしまひました。

久大本線

次の日。
初乘車の筈の久大本線 大分〜日田では所々意識を失つてました。一往「乘つた」と云ふ扱ひにしますが、再履修が必要です。日田から久留米までは完全に寢てました。

大川へ行く筈が……

上に書いたやうな行程ならば、その儘「ゆふ」に乘れば博多まで行けるのですが、何故久留米から西鉄に乘つてゐるのか。實は大川市へ行かうと思つてゐたのです。大川市と云へば、のだめ菌を育んだ菌床。最近ではパリ市と姉妹都市になりました(またさう云ふ一部の人にしか判らないネタを。一往目そらし)。前囘はバスで通過しただけだつたので、今囘は時間をとつて大川をあちこち見て廻らうかと思つてゐました。が。
大川には鐵道がないので*2、JR久留米から西鉄久留米までバスに乘り、西鉄久留米から西鉄電車西鉄柳川へ、西鉄柳川からバスと云ふことになります。で、西鉄久留米西鉄柳川までの切符を買つたまでは良かつたのですが、私は久留米と柳川の位置關係を把握してゐなくて、福岡(天神)行の電車に乘つてしまつたのです。間違ひに氣が附いたのは列車が發車してから。柳川へ行くには大牟田行(南行)に乘らなければならなかつたのです。少しのことにも先達はあらまほしきことなり。今風に言へば「ちやんと確認しなきゃ」。この列車は特急なので西鉄二日市まで停らない。そこから折り返して西鉄柳川へ行つても、大川を見て廻る時間があまり取れない。それならと、今囘は大川觀光を諦めてその列車で福岡(天神)まで行つたのでした。「御前は乘潰しに來たのだから乘潰しに專念せよ」と云ふ、乘潰しの神樣*3の思召しなのだと思ふことにしました。

*1:ケーブルカーは頂上からケーブルで吊り上げられて、それで動いてゐるので、架線から電氣がとれなくても運行に支障はありません。架線は室内の電氣機器用。

*2:かつては国鉄佐賀線が通つてゐました。もちろん「大川驛」もありました。その時代だつたら博多からタクシーに乘ることはなかつたのですけどねー。

*3:宮脇俊三さん