祭のあと

さて、時刻表2萬7千キロの旅を終へた訣ですが。次は何をしませう。宮脇さんは國鉄完乘達成の後は家庭菜園に勤しまれたやうですが。乘るべき線區が少くなつてからは、時刻表を見るのも張り合ひが無くなつて來たと云ふのは確かです。以前のやうなジグソーパズルを組み合はせるやうに乘替へまた乘替への日程を立てる必要も無くなつてしまつたので。

今まで急ぐ旅ばかりして來たので、今度はゆつくり旅をしたい。「吉備の国をゆっくり歩いてみたいし、……鉄道がないために隠岐にも壱岐にも行かなかったが、そういう島々にも行こうと」(宮脇俊三『時刻表2万キロ』より)思つてゐるのは宮脇さんと同じなのですが、やはり目標がないとその氣になれない。
と云ふことで、と云ふことでもないのですが、少し前から私は全國の一宮巡拜を始めてゐます。一宮と云ふのは、各國で一番格が高いとされる神社のこと。六十八の國があり、さらに歴史的經緯により一國に複数の一宮がある國もありますので、全體の數は百近くになります。今まで行つた路線を再び訪れることになるし、さらにその奧まで行ける。もちろん隠岐壱岐、對島、佐渡にも行くことになる。それから、神社と云ふのは驛の近くにあるとは限らないので、バスやタクシー、徒歩も使はなければならなくなり、時間が讀めないので、今までの旅のやうなギリギリのスケジュールは組めなくなる。だつたら急がずに、その街に半日ゐるくらゐの積りでも良いやと、そのやうな旅がしたいと思つてをります。と云ひながら、また急ぐ旅をしてしまひさうな氣も。