子規忌

子規といふ名前について。子規といふのはほととぎすのことです。子規は結核を病んでよく吐血してゐたため、これを血を吐くまで啼くと言はれるほととぎすに擬へたものです。

このほかにもたくさんのペンネームを使つてゐました。「獺祭書屋主人」の「獺」とは川獺[かわうそ]のことです。川獺は巣に魚を集めて貯蔵する習性があり、魚を祭つてゐるやうだといふことでこれを「獺祭[だっさい]」といひます。ここから転じて「散らかつてゐる様」の意味となりました。「獺祭書屋」とは書物が散らかつた部屋のことです(ああ、わたしの部屋のことだ)。

本名を升[のぼる]といひ(常規[つねのり]から改名)、かなりの野球好きであつたことから「野球[のぼーる]」といふ名前までありました。


糸瓜咲て痰のつまりし仏かな 子規